パオラ・ピヴィ Paola Pivi

1971年イタリア生まれのパオラ・ピヴィの芸術活動は、多様で謎めいています。馴染み深いものと異質なものを融合させ、ピヴィはしばしば、一般的に認識されているオブジェクトを新たなスケール、素材、色彩へと改変することで、鑑賞者の視点を変えるよう促します。ピヴィの作品世界では、動物が主人公として描かれることが多く、彼女は動物たちの知覚される特徴を引き出し、そこに人間的なマナーを吹き込みます。ピヴィの作品では、ホッキョクグマがヨガをしたり、空中ブランコにぶら下がったり、互いに交流したりしています。色とりどりの羽根が生えた作品は、実物大と子グマのミニチュアサイズの両方で制作されています。彫刻、ビデオ、写真、パフォーマンス、インスタレーションを網羅するピヴィの作品は、従来の限界を超え、かつては不可能と思われていたことを可能にします。シマウマは北極で戯れ、金魚は飛行機で飛び、2012年のパブリックアート基金のインスタレーションでは、パイパーセネカの飛行機が翼端で持ち上げられ、常に前方に回転するように設置されました。(アーティストHPより)

主な展覧会 Selected exhibitions

  • 1999 ベネチアビエンナーレ イタリア館
  • 2015 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015、
  • 2025 Paola Pivi – I don’t like it, I love it展、Art Gallery of Wester Australia, パース、オーストラリア

作家について About the Artist


アーティストHP

作家・作品情報については作家のギャラリーであるPerrotinMassimo を参照

パオラ・ピヴィはハラルド・ゼーマンがディレクターを務めた1999年のベネチア・ビエンナーレにおいて天地さかさまに置かれた戦闘機を出品。この展示によってイタリア館が金獅子賞を受賞。当時はまだインターネットが現在のように普及しておらず、図録などに掲載されている写真や記事を海外からも集めながら新進気鋭のアーティストを探していた時代。墜落している壊れているのではなく、天地逆に「そっと」置かれた飛行機がとても新鮮な印象だったと記憶している。その後もパオラ・ピヴィの展示では展示空間内に生きた動物が歩いたり、ヘリコプターや飛行機が不思議な姿勢で置かれたり回転するる。いづれも非常に新鮮な印象を感じた。その後カラフルな熊が踊っていたり、ヨガをしていたり、作風にも幅が出ている。

パオラ・ピヴィと初めて仕事をしたのは2013-14年の頃。2015年の越後妻有アートトリエンナーレに向けて作家のリサーチをしていた頃で2012年にニューヨークのセントラルパーク横で回転している飛行機を見て、さっそくパオラ・ピヴィとコンタクトをとった。豪雪地帯である十日町や津南の家の上に屋根の上に除雪の際に登れるように梯子が空に向かって突き出しているのを見て梯子がモチーフとなり、2015年に津南に巨大なカラフルな作品が完成した。その際に出来た作品はたまに海外の展覧会にも「Untitled (project for Echigo-Tsumari)」というタイトルで登場し、どこに置かれても風景を一変させる唐突で強い印象を与える。

Untitled (project for Echigo-Tsumari)、2025年 グラン・パレ、パリ、EUPHORIA: Art is in the Air展 Ⓒphoto: ArtTank

2025年にはオーストラリアのパースにある西オーストラリア州立美術館 (The Art Gallery of Western Australia)にて大規模な個展「Paola Pivi – I don’t like it, I love it」展が開催された。https://artgallery.wa.gov.au/whats-on/exhibitions/paola-pivi-i-dont-like-it-i-love-it/

Ⓒphoto by ArtTank

この展覧会の顔となる高さ13m以上、幅12mの新作『Fortunately, one picture is worth a thousands of these suckers…(homage to Lincoln Peirce)』を作品をアーティストと一緒に製作することになった。この作品は著名なアメリカの漫画家、リンカーン・ピアースの『ビッグ・ネイト』のコミックのひとこまを元にしている。この作品は化学工学科の学生であったピヴィがアーティストへと転身する過程で重要な役割を果たしたコミックという形式に敬意を表した作品とのことである。

Ⓒphoto by Paola Pivi Studio
Ⓒphoto: ArtTank