西オーストラリア州立美術館 (The Art Gallery of Western Australia)にてパオラ・ピヴィの個展開催。新作の製作・設置を監修、コーディネートしました。
オーストラリアのパースにある西オーストラリア州立美術館 (The Art Gallery of Western Australia - 略称 AGWA)にて開催のイタリア出身のアーティスト、パオラ・ピヴィによる展覧会「Paola Pivi – I don't like it, I love it」展は、ピヴィの約30年に及ぶキャリアにおける最大規模の展覧会となっています。ピヴィのキャリア全体から厳選された主要作品とともに、AGWAのユニークな建築空間に合わせ制作されたコミッション作品を展示しています。
その中でも美術館の3階吹き抜けのホールの為に作家と共に製作・設置した高さ13m以上、幅12mの新作が『Fortunately, one picture is worth a thousands of these suckers…(homage to Lincoln Peirce)』。
この作品は著名なアメリカの漫画家、リンカーン・ピアースの『ビッグ・ネイト』のコミックのひとこまを元にしています。実際にこのコマの前後は作品でも紹介されていませんが、「あんなものよりも絵の方がずっとよく伝わるよ」というネイトの発する言葉がフィーチャーされています。
この作品は化学工学科の学生であったピヴィがアーティストへと転身する過程で重要な役割を果たしたコミックという形式に敬意を表した作品とのこと (美術館公式ホームページより)。そう考えるとこの作品は、学問を捨ててアートで生きることを決心した過去の自身のあり方を振り返っているような作品ともいえるのかもしれません。
この作品以外にもこれまでに作家がヨーロッパやアメリカで作ってきた作品だけでなく、ピヴィが現地で作り完成させた作品もあり同作家の作品の幅を感じさせる展示となっています。
場所: 西オーストラリア州立美術館 (The Art Gallery of Western Australia) 、オーストラリア、パース市
会期:2025年11月8日 - 2026年4月26日
製作・設営コーディネート:ArtTank (近藤俊郎+小平悦子)