Music Loves Art in Summer Sonic 2022

2022年08月22日~

2022年サマソニにて、金氏徹平、レアンドロ・エルリッヒらアートプロジェクトを実施。Music Loves Art in Summer Sonic 2022

photo by Keizo Kioku

2022年8月22日と23日に幕張にて開催されたミュージックフェス、Summer Sonic 2022にて初の本格的なアート・プロジェクトに取り組む「Music Love Art In Summer Sonic 2022」を文化庁の協力にて開催。キュレーターの山峰潤也さんとともにArtTank も企画に加わり、レアンドロ・エルリッヒや金氏徹平などの大型の屋外インスタレーションを手がけました。

レアンドロ・エルリッヒ / Traffic Jam 交通渋滞 2022 ⒸLeandro Erlich Studio, photo by Keizo Kioku

幕張のビーチにはレアンドロ・エルリッヒによるすべて砂でできた40台の車によって構成された遺跡のような交通渋滞の車の行列。何百年後の人類が21世紀の遺跡を発見するとすると何を読み取るのだろうと考えながら計画された作品。車の渋滞は炭素排出による温暖化の象徴であり、海岸に作られているということはこれから起きてくるかもしれない水位の上昇を連想させます。オゾン層が回復された数百年後の人類は私達21世紀の人類のことをどう思うのでしょう。看板にある「止まれ」が現代の私達に対する警鐘のように思われます。

レアンドロ・エルリッヒ Traffic Jam 交通渋滞制作データ

制作期間:約10日間 (台風の為、1日間制作を休止) アーティスト:レアンドロ・エルリッヒ 全体企画:山峰潤也+ArtTank(小平悦子+近藤俊郎)作品計画/コーディネーション+制作:小平悦子+近藤俊郎 プログラムマネージメント調整:クリエイティブマン・プロダクション 平野敬介 現場調整+制作:株式会社セーオー 竹内弥世 制作指導:保坂俊彦 制作:(保坂チーム)保坂俊彦、堀田光彦、塚本敦也、林真理、相澤澄恵、横山雅姫、(学生チーム)池内琢也、若松勇一、近藤芳観、篠崎仁織子、泉山静李、篠崎海友、菊地凌和、高橋勇吾、秋山弘俊、野沢重太郎、竹村真脩、岡田瑛士、古賀悠悟、梅北佳雅、山本渉、鹿田和可子、廣島空衣、西田美弥子、城啓純 作品:40台を実寸大にて制作 素材:砂、水 手法:ダンプ80台の砂を搬入後、整地と砂の準備。盛り上げた砂の塊から車の形をひとつづつ掘り出し、1日4-5台程度彫塑。その後、作品周りをに再度浜辺の砂を敷き詰めることでインスタレーションが完成。

photo by Keizo Kioku
photo by Keizo Kioku
photo by Keizo Kioku
photo by Keizo Kioku

マリンスタジアム横には金氏徹平による立体を3作品展示しました。いずれもコミックや雑誌などのイメージを引用し、立体的に組み合わせた金氏らしいポップな作品。本来は書籍やネットなどに掲載されている小さなイメージが現代のアイコンのように肥大化され、現代を象徴するモニュメントのように聳え立っています。かつて私たち人類は同時代のアイコンとしてスフィンクスをはじめ戦場の英雄など様々なアイコンを巨大な彫刻として残してきました。果たして私達が生きる21世紀を象徴するアイコンとは何になるのでしょうか。マンガやアニメがいまのように国際的に評価されることになるのは30年前は予想もしていませんでした。私たちそれぞれが21世紀の私達の象徴としていろいろなものを想起しますが、実際には全く異なるものが私達全員があたかも支持していたかのような素振りでアイコンとして残ってしまうのかもしれません。時代を越えてから認知される私たち同時代のアイコンは私達が期待しているものとは違っているかもしれません。金氏徹平の作品は21世紀の遺産としての一例をあぶりだしているように思えます。現代の私たちがそれを許容しようが異議を唱えようが、残されていくのは生きている人々の個々の思いなどではなく、出版などの媒体を通じて残るイメージでしかないかもしれません。金氏徹平の作品は現代のエッフェル塔であり、ワシントン・モニュメントなのかも知れません。

金氏徹平 / Hard Boiled daydream (Sculpture/Spook) #A.B.C , photo by Keizo Kioku

金氏徹平制作データ:

アーティスト:金氏徹平 全体企画:山峰潤也+ArtTank(小平悦子+近藤俊郎)作品計画/コーディネーション:小平悦子 プログラムマネージメント調整:平野敬介 設計:小平悦子+株式会社 FLAT 平塚克敏 制作 : 中川ケミカル+株式会社FLAT

その他、「Music Loves Art in Summer Sonic 2022」の参加作家は小林健太、細倉真弓、イナ・ジェンの計5名。小林健太はマリンスタジアムへのゲートをアート作品にしてくれました。写真をベースに複雑な形状のパネルを配置、サマーソニックのロゴもゲートにてリデザインしていただき、ゲートのトラスと一体となった作品が成立しました。細倉、イナ・ジェンは幕張メッセの回廊部分に作品を設置しました。先行して発売されていたサマソニ(Summer Sonic 2022)の入場券が数か月前に売り切れとなっていたため、アートのファンに見ていただけなかったことが残念ですが、これまでアートに興味のなかったかもしれない多くの来場者にあちこちで「なにか変わったものがある」と認知していただけた2日間だったと思います。

イベントに関しては下記もご覧ください。

PR Times (文化庁による広報記事)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000483.000047048.html

美術手帖: https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/25927

小林健太 / フラグメンツ・オブ・メモリー, photo by Keizo Kioku