瀬戸内会場のインスタレーション
窯業が盛んな瀬戸市にはかつて銭湯が多くあって陶工たちで賑わっていた時代があった。佐々木類の作品を設置する会場となった旧日本鉱泉もそのひとつだった。設置作業をしていると通りがかった人たちが懐かしそうに立ち止まる。ここは2021年に閉業になったばかりで、まだ地域の人たちの記憶からもそれほど遠い昔ではない。
佐々木は何度も地域に足を運び、植物を地元の人たちと採取してきた。そして地元のガラス屋さんの手元に残ったデッドストックを素材として作家の拠点である金沢に持ち帰り、植物を閉じ込めた数百ものガラス作品を制作。それらが暗闇の中で精霊のように空中に浮遊するインスタレーションとして昇華させたいという展示プランが2025年の愛知における芸術祭への出展プランであった。
ArtTankも作家さんと一緒に何度も現地へ同行。作家の展示プランをどのようにして実現できるかを、アーティストと一緒に検証し、暗闇の中で浮遊感を出すための手法を考え、実験を重ね、図面を描き、現地での制作の段取りを組んだ。また実際の設置現場にも最初から最後まで立ち会うことで隙の無い、美しい作品が完成した。
瀬戸会場の他の作品も非常に良い作品が多いこともあって、佐々木類の作品も会期中には人気のある会場となって、狭い会場であったことから順番待ちをする必要もあり、銭湯の外には長い行列ができたていた。瀬戸まで脚を伸ばして見に来てくれた方の中には順番待ちで会場に入れなかった方々も居たと聞く。いつの日かまた同じレベルの展示を同作家さんと実現して、より多くの方々に見る機会を持っていただきたいと思う。
展示情報
展示期間: 2025年9月13日 - 11月30日
場所:愛知県瀬戸市、旧日本鉱泉