「六本木アートナイト2023」岩崎 貴宏など複数のアーティストの企画・制作コーディネート

六本木アートナイト2023 岩崎貴宏の作品の企画・制作コーディネート

岩崎貴宏/ 2023 / 雨の鏡, photo by ArtTank

コロナ禍以降、初めて六本木アートナイトが従来の「アートナイト」らしく、深夜の時間も含め、開催されました。六本木アートナイト2023では栗林隆+CINEMA CARAVANを始め複数のアート作品を企画・制作コーディネートしました。本項では岩崎貴宏の作品を紹介します。

岩崎貴宏 / 2023 / 雨の鏡   photo by ArtTank

展示期間: 2023年5月27日(土) 10:00〜5月28日18:00

場所:レーヌ第1ビル 1階

会場となった建物の一室は昔、テラス席も張出していたカフェでした。今回の展示はそのテラスであった場所(屋外)から店舗内を見るという設えでした。屋外の観客の皆さんに入ってただく場所も今回は暗室になっており、そこへ砂利を敷き詰めた空き地らしい空間が広がっています。作品タイトルにもある通り雨の降った後の水たまりがあって、周囲の風景が映り込んでいます。幾人かのお客さんの思考もそこで止まってしまったようです。

photo by ArtTank

しかし、視点を移動させたり、いろいろな角度からよく見ていると、そこには無いはずの東京タワーも水たまりの中に映っており、水たまりはどこか違う別の時間が流れる世界への入口のようにも見えました。そこに気づかれたお客さんも多く、10分以上滞在されて作品に見入ってらっしゃる方々も大勢いました。

アーティスト・ステートメント:

戦後の焼け野原から復興、高度経済成長、バブル景気と崩壊、そして失われた30年。そのスクラップ&ビルドによって変化し続ける象徴的な都市、六本木。再開発を待つ空き地の中、五月雨が作る澱みは、移ろいゆく時を映し込み、彼岸と此岸を繋いでいるかのようです。束の間に出来たこの空き地も、水たまりも、眩い光の塔さえもいずれは朝露のごとく消えゆくでしょう。この儚い光景は、人の記憶の中で朧に生き続けるのかもしれません。