康夏奈 (吉田夏奈)展 -森のいろ、海のいろ

2020年11月21日~2020年11月29日

2020年2月末に逝去された康夏奈の300点以上の作品を3フロアわたり公開する展覧会を、人生最後の日々を過ごした鎌倉稲村ケ崎で2020年11月29日まで開催し、大勢のお客様にご来場いただきました。会期後も引き続き全作品をこちらで取り扱っています。

Beautiful Limit-果てしなき混沌への 冒険ー 部分

康夏奈はロサンゼルスやフィンランドのフィスカルでのレジデンスでの活動を経て、2010年に吉田夏奈の名前で展覧会デビュー。2016年に康夏奈に作家名を変更、2020年2月末に他界するまで作品をつくり続けました。

空中散歩(12枚組)/ 2012 / 各550x910mm_紙にクレヨン、オイルパステル
Man’s last Beer シリーズ / 2007

彼女がこれまで、身体を使って山や海を体験しながらフィールドワークのように制作をする中で生まれた作品、ドローイング、素材も残されており、作家の強い生命の片鱗をそれぞれから感じ取ることが出来ます。山に登ることから始まり、海を描くために海に潜り、遂には宇宙に行くことさえ夢見ていました。この展覧会では精一杯、人生を生き抜いた康夏奈の300点を超える作品とドローイングを展示します。作家が日々眺めていた鎌倉の海や風景、季節を感じながら作品をご覧いただければと思います。

また、作家の大学時代の友人でアーティストである岩崎貴宏さんに、作家が使った画材や未完成作品の素材を提供し、この展覧会のために制作した作品も展示します。このようなコラボレーションを通し、康夏奈の生命の残り火がより広がりをもって燃え続けていくことを願っています。

会場からの眺め

会場は作家が最期の数年を過ごした鎌倉稲村ケ崎にある海に面した3階建ての元宿泊施設です。本展は展覧会の英語のタイトルの通り、この作家の「アーカイヴ」という位置づけの展覧会になっおり、現在、都立庭園美術館に出展中の作品と瀬戸内国際芸術祭にあった作品以外、現存する康夏奈のほぼすべての作品が個々に集結しています。今回は3つのフロア全てを使ってそれら300点を超える作品を展示/公開します。

1階展示風景部分、「空中散歩」2011
1階展示風景、「Beautiful Limit」2010、など

1階にはロスアンゼルス滞在期の作品など日本未発表の作品がほとんどの含む2006年から2011年頃までの作品を展示しています。展示しきれない作品はすべてファイルに収められ、ご覧いただけます。岩崎貴宏さんの新作もこちらの階で展示しています。

2階展示風景、「For the Love of Beer」2007シリーズなど
3階展示風景、「富山県立美術館シリーズ」2019など

展示室2階には2007年の「For the love of Beer」シリーズと2012年から2016年頃まで「瀬戸内国際芸術祭」など小豆島を基点に仕事をしていた頃の海をテーマとした作品群を、そして3階には2014年のMOTアニュアルから2019年の富山県立美術館出品作品を公開しています。殆どの未発表作品はシートの状態ですので、作品ファイルにて現物をご覧いただけます。大きな展覧会でありながら東京や関東では見ることのできなかった作品、そしてそれらの公開作品の為の未発表ドローイングが多数あります。また、2016年以降、美術館からの依頼があっても病気の悪化があってお断りせざるを得なかった多くの展覧会のための習作群もまとめてご覧いただくことが出来ます。

この展覧会はこの作家の作品集の出版を実現するために開催されています。吉田夏奈、そして康夏奈の作品集の出版が実現できるよう、皆様に作品をご覧いただき、気に入っていただいた方に作品を持っていただきたいと思っています。作品が多くの方の手に渡ることで、この作家が生きていた意義、或いは星の瞬きのように誰も気づかなかった小さな何かが、より広がりを持って残っていくこと、それを目指しています。

主催:立和名宏、吉田貴子

企画・事務局: ArtTank (小平悦子、近藤俊郎)

展覧会 Information
日程:2020 年 11月 21日(土) - 29 日 (日)
時間:AM 11:00 - PM 5:00 会期中無休
会場:SIMPLE HOUSE
住所:鎌倉市稲村ガ崎1-15-7
こちらの展覧会は終了いたしました。
今後も康夏奈の全作品の取り扱いを継続しています。
作品の紹介ページをアップする予定ですが、
お問い合わせはこちらのフォーム からお願いいたします。
当日のご連絡先:電話 03-6809-9977 ( ArtTank )

康夏奈 (吉田夏奈) :    1975年東京都生まれ。2020年2月末に他界。主な展覧会に現在開催中の「生命の庭」東京都庭園美術館、2016年「ArtMeets 03」アーツ前橋、2014年「MOTアニュアル2014」東京都現代美術館、2013年「VOCA2013」上野の森美術館、「瀬戸内国際芸術祭2013」、2011年 個展「Project N 44」東京オペラシティアートギャラリーなど。

花寿波島の秘密 / 瀬戸内国際芸術祭2013

岩崎貴宏:1975年広島県生まれ。歯ブラシや本の栞(しおり)、タオル等から小さな鉄塔やクレーンなどをつくり、それを組み合わせることで風景を作り出す。2017年には第57回ヴェネチア・ビエンナーレの日本館代表に選出された。

また、 「生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙」にも作品を出品中です。 東京都庭園美術館にて開催中。こちらも是非ご高覧下さい。会期:2020年10月17日―2021年1月12日。www.teien-art-museum.ne.jp

作家についてはこちら、展示作品につてはこちらにより詳しい情報が掲載されています。

庭園美術館出品やその他作品についてのお問い合わせはこちらへ。

*本展の作品販売により康夏奈の作品集を制作する予定です。